<楽しいのが好きな人のブログ/a>

楽しいのが好きな人のブログ

ふと思ったこと、書いておきたいことを好き勝手書きます。

スルガ銀行が業務停止!銀行が業務停止命令を受けた事例を調べてみた5

銀行への業務停止命令を振り返るシリーズ第5弾、最終回です。
記事を書くたびに、少しずつ賢くなっていくような気がしていました。我ながらいい試みでした(笑)

1 04年、09年、11年 シティバンク銀行

2 06年 三井住友銀行

3 07年 三菱東京UFJ銀行

4 10年 日本振興銀行

5 13年 みずほ銀行(今回の記事です)

今回はみずほ銀行の受けた業務停止命令を見ていきます。
(みずほ銀行と同時期にみずほフィナンシャルグループも命令を受けていますが、FGの方は業務改善命令のみです)


金融庁からの発表はこちら↓
株式会社みずほ銀行に対する行政処分について:金融庁みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について:金融庁


みずほ銀行からの発表はこちらですね↓
金融庁による行政処分について(https://www.mizuhobank.co.jp/release/2013/pdf/news131226_3.pdf)

詳しく中身を見てみます。

…と思ったのですが、ちょっとこれらの発表資料だけでは意味がとりづらかったので、こちらの資料を参照しました。
みずほ銀行問題の本質と過剰反応への危惧 - 弁護士 國 廣 正
こちらの資料を引用しつつ内容を解説していきます。(「」内は引用部分)

処分理由:ざっくり言えば、反社会的勢力との取引があったことを「認識しつつ放置したという「2年以上の不作為」が問題視された」こと。

詳しくは、
みずほ銀行はオリコを関連会社とした後の平成22年12月、オリコとの提携ローン(キャプティブローン)108万件につき反社会的勢力に関する事後チェックを行ったところ、228件がみずほ銀行基準での反社認定先と判明した。しかし、その後2年以上、反社認定先への融資を未然に防止するためのみずほ銀行基準での「入り口チェック」を行ってこなかった 」のだそうです。

反社会的勢力との取引があったこと自体ではなく、あると知っていたのに何も対応しなかった、ということが理由だったようです。

ちなみに金融庁発表資料において、理由の一つに
「6.経営陣は、平成23年3月に発生したシステム障害時の「縦割り意 識(連携・コミュニケーション不足)の払拭」という教訓を活かさず、 関係する各部署・各職員が組織として問題認識を共有し連携を図る態 勢を構築できていなかったこと。」
というのが挙げられています。
確かにみずほ銀行平成23年(2011年)に大規模なシステム障害を起こしています。
が、それをこの資料で触れているというのは…かなり攻撃的な言い方だな(笑)、という印象を受けました。

命令内容:4者提携ローンにおける新規の与信取引を1か月間停止。研修実施、等。

4者提携ローンというのは反社会的勢力との取引が見つかった取引、つまり今回の事件の原因部分です。
こちらを1カ月間停止しなさいという命令でした。

ちなみに、この命令に関して先程引用した資料の作者の國廣弁護士は、この命令によって「みずほ銀行たたき」「反社排除」の過剰な空気が日本社会にあるとして警鐘を鳴らしていました。
「反社会的勢力との癒着や利益供与は、いかなる意味でも認められず、金額の多少に関わらず一件たりとも許してはならない。しかし、反社会的勢力との「取引遮断」については、暴力団の資金源を絶つという目的との相関関係で合理的な対応が求められる。反社の入り口排除のためのデータベース整備やシステム構築を進めることは良いとして、これにあまりに膨大な人員、エネルギーを割くのは企業経営としてのバランスを欠くおそれがある。」
とのことでした。



これにて銀行への業務停止命令シリーズを振り返りシリーズはおしまい。
みずほ銀行の次に業務停止命令を受けるのが、今話題となっているスルガ銀行となります。

振り返ってみて、特に反社会的勢力に関係する取引については、もしかしたら銀行が主体的に行動して改善するのは難しく、金融庁などより強い存在による強制的な命令が非常に重要なストッパー(と言うのでしょうか)になるのでは、と感じました。
法令違反はもちろんしてはいけないことです。
それはそうなのですが、銀行の経営陣や行員にとって「ここまで来てしまったらもう後戻りができない」と思われる場面もあると思います。
その際事態を収拾するのが金融庁による命令なのではないでしょうか。
銀行による改善がフィルターだとしたら、金融庁は最後の受け皿、みたいな。
そういう意味で、金融庁の業務停止命令・改善命令などが出ている=受け皿として機能している、とポジティブに考えることもできるのではないかな、と、思いました。

もちろん、被害を受けた・迷惑をこうむった人・企業にとってはそんな悠長なことを言っていられないですが…